機械の修理の仕事と具体例!【シリンダ動かない】編!

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こんにちは技術者けんです。今回は私の修理の経験から【シリンダが動かない!】というトラブルについての対応方法を解説していきたいと思います。

私は現役で保守保全として食品会社で工場の設備を修理する仕事をしています。実際の経験を交えながら分かりやすく解説していきます。

今回この記事を読んでいただけるとどのように機械の修理を進めていけば良いかの流れが分かってきます。また、これまでになかった新しい知識が増えるかもしれません。是非お付き合いください!

【シリンダが動かない】とは?

実際の機械の例として今回はシリンダ3つのモデルケースで考えてみます。

  1. 正常な動作ではシリンダ①がワークを押す
  2. シリンダ②がワークを押す
  3. シリンダ③がワークを押す


上記が流れ通り動くとワークはコの字の経路で移動します。

今回はシリンダ②が動かなかった場合の事例です。シリンダ②が動かなかった場合にはワークは経路の途中で止まってしまい、生産ラインの停止に繋がるトラブルになります

このような現象のトラブルの対応方法を解説していきます。

【シリンダが動かない】に対応する手順

まずフローチャートをご覧いただけると分かるかと思いますが動かない原因がたくさんあります。ひとつひとつ確認しながら修理を進めていく必要があります。

字が小さいので画像を保存しておいて拡大して見ると便利です。※個人で保存する分には全く問題ありませんが転載等は禁止されています。

シリンダが全く動かないのか

まずシリンダが少しは動こうとしているか、全く動かないのか確認します。

少しでも動こうとして止まっている場合にはシリンダや押し出し部がどこかに引っかかっている可能性があります。もしくはシリンダの劣化によりエアが抜けてしまっている可能性もあります。少し珍しいパターンではエア圧が下がっている場合もあります。

エアーの切り替わりはどうか

シリンダが全く動かない場合には次にエアーが切り替わっているかどうか確認する必要があります。

エアーが切り替わっているかどうかはシリンダに接続されているエアチューブを外してみればすぐに分かります。

エアーは切り替わっているがシリンダが動かない場合にはやはり、シリンダの劣化や引っ掛かりが考えられます。シリンダを交換するか引っ掛かりを取り除きましょう。

電磁弁まで信号(電気)が来ているか

エアーが切り替わっていない場合は探っていくのが少し長くなります。エアーが切り替わっていない場合、ここからは電気や制御的な頭で原因を突き止めていきます


まずエアーが切り替わっていないということはほぼ電磁弁が切り替わっていないということとイコールです。電磁弁が切り替わらないということはコイルまで電気が来ていないか、コイルまで電気が来ているが電磁弁が切り替わらないかのどちらかです。

コイルまで電気が来ているが切り替わらない場合、電磁弁が固着しているか電磁弁が故障の可能性があります。

固着している場合には手動のボタンで何度か動かしていると動きが復活することもあります。(長くは持たないので交換を計画しましょう。)

電磁弁についてより詳しく知りたい方は下記からどうぞ↓

電磁弁まで信号が来ていない場合

電磁弁まで電気が来ていない場合には探っていくのが大変になります。シーケンサーを用いて機械を動かしているなら出力が出ているか確認したり、リレー制御であればリレーが劣化していないか、など色々と確認をします。

例えばリレーやシーケンサーの出力信号は問題なくても電磁弁までのケーブルが断線していることもあります。

会社によっては機械系保全と電気系保全と分かれている場合もあり、ここでバトンタッチが行われることもあります。

電気系での信号が出ていない話はまたの機会に詳しく話したいと思います。

修理にかかる時間の目安

ここまでの話の中でシリンダが動かない原因を探し、対応する手順には様々なパターンがあることが分かりましたね。では修理して機械が復帰するまでにどれくらいの時間がかかるでしょうか?目安となる時間を考えてみましょう。

  1. 現場まで到着 〜10分
  2. 原因追求 5分〜
  3. シリンダの交換(シリンダが原因の場合) 15分〜
  4. 試運転・動作確認 5分〜

大体の目安としては30分ほどかかるイメージです。ただし状況によって全然変わってくるため15分で終わることも有れば、1時間を超えることもあります。

標準的にシリンダを交換する場合で考えても、原因追求に時間がかかってしまったパターンや、現場に行って原因が分かった後にシリンダを取りに戻る時間がかかった場合など様々です。また実際のシリンダの取り付け場所や作業のしやすさ、工具のアクセスのしやすさなどによって交換時間が変わってきます。

最速で修理をするコツはシリンダが動かないという連絡を受けた際に現象を出来るだけ詳しく聞き出して、シリンダや電磁弁の型式を見てもらい予備部品を持って行くというのが王道です。(部品を保管している場所と現場が近い場合は例外ですね。)

実際に多いパターン

実際に起きるパターンとして多いのがやはりシリンダ自体がダメなパターンが多いです。ただしシリンダもダメになるパターンがいくつかあり、高速で何度も動くシリンダやワークを押し引きする際に無理な力がかかっているシリンダなどは劣化が早いです。

もう一つ多い事例としては、シリンダが動く条件が整っていない場合もあります。

今回の例で考えるとシリンダ②が動かない時にシリンダ①と③のオートスイッチ(シリンダーセンサー)がちゃんと入ったり切れたりしているか確認する必要があります。

例えばシリンダ③の戻りのオートスイッチが入っていなければシリンダ②が動かない制御をしている場合などです。これは設備や機械によって異なるためどのような制御をしているかによって様々です。

この仕組みやオートスイッチが入らないとシリンダが動かない制御などは機械メーカーや設備メーカーによって違うためそのあたりをまとめて機械にクセがあるなんて言ったりすることがあります。

シリンダについてより詳しく知りたい方はシリンダについての記事をご参照ください↓

まとめ

さてここまで読んで理解いただいた皆さんはロジカルな思考力がUPしています。機械トラブルなどでシリンダが動かない場合にはすぐに頭の中にフローチャートが思い浮かぶくらいになると素晴らしいですね。

しかしフローチャートが全てではないので原因を追求する&対処するが素早く出来る様に日々頭を使いながら過ごしていきましょう!

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