みなさんこんにちは、技術者けんです。この記事では機械や電化製品のなどで見かける防水性能について解説していきます。
IP〇〇やIPX〇などの意味がこの記事を読み終える頃には分かるようになっているはずです。
この機会に防水性能に詳しくなりましょう!
防水性能とは?
防水性能は主に機械や電化製品などで、水がかかったり浸水しても大丈夫かどうかという基準です。例えばお風呂で使用するタイプの髭剃りなどではカタログに防水性能IP〇〇と記載されていたりします。
私が使っている髭剃りはIPX8です。価格が高かったので防水性を発揮してもらって長く使いたいですね〜
防水性を表すIP〇〇は防水性能と防塵性能の2つの意味が入った規格です。IPの後の3文字目が防塵規格になっていて、4文字目が防水規格になります。
例えばIP67の場合、防塵性能が6で防水性能が7ということになります。
IP〇〇防塵性能
今回は防水性能の話なので防塵性能は簡単にまとめておきます。
防塵性能は0〜6までの7等級あり、それぞれが機器の内部に侵入しないかどうかの規格です。
例えば手指や針金が機器内部に侵入しないかどうか、その次にホコリや粉が侵入しないかどうかによって等級が分けられています。
防塵性能が最高のIP6であれば細かい粉などが機器内部に侵入しない等級ということになります。
防塵性能と防水性能は数値が大きくなればより良い性能になるイメージです。
※防水性能については何に対する防水なのかによって性質が少し違います。
防水性能のIPXとは?
先にも触れましたが防水性能はIP〇〇の4文字目が防水の等級を表しています。
基本的には数字が大きいほど防水性能が高いと思って大丈夫です。ただし数値が上がれば防水性能の意味合いが変わってきます。
また先述の防塵性能が保証されていない場合には3文字目がXになります。
例えばIPX6などです。
IPX0 無保護
これは防水性能を全く保証はしていません。ただし濡れたら即座に壊れる機器という訳ではなく「検査をしていないですよ」という意味合いでもあります。
IPX1〜2 防滴性能
滴ってくる水滴に対する防滴性能を表しています。
IPX3 防雨型
斜めに飛んでくる水滴に対する防水性能で主に雨を想定するため防雨型とされています。
IPX4 防沫型
全方位からの水滴に対する防水性能です。例えばアウトドアグッズなどは全方位からの水滴を防ぐ必要があるでしょう。
IPX5 防噴流型
これまでのIPX1〜4と少し性質が異なり、水滴ではなく、全方向からの噴流に対する防水性能になります。イメージでいうとシャワーに対する防水性能です。
IPX6 耐水型
これはIPX5の強化版だと思ってもらえばイメージしやすいと思います。全方向からの強い噴流に対する防水性能です。IPX5より厳しい試験を通過出来れば6になります。
IPX7 防浸水型
7等級はこれまでの1〜4と5〜6とまた性質が異なります。これまでは水滴や噴流に対する防水性能だったのに対して、IPX7は水の中に浸かることに対して大丈夫かどうかの規格になります。
IPX8 水中型
8等級はIPX7の強化版です。ただしIPX8には明確な試験方法がありません。IPX7を満たしてメーカー独自の試験を実施してクリア出来ればIPX8となります。IPX7の試験方法は水面下15cm〜1mで30分間の後に正常な動作をすることですので、IPX8はそれ以上ということになります。メーカーによって試験する時間を30分間より長く試験しているのか、それとも浸水させている深さを1m以上にして試験しているのか分かりません。メーカーに問い合わせをしてみましょう。
IPX防水性能の試験方法
これまでのIPX等級を決定するための試験方法をまとめておきます。
等級 | 試験方法 |
---|---|
0 | 試験無し |
1 | 200mmの高さより3〜5mm/minの水滴、10分間 |
2 | 200mmの高さより15°の範囲から3〜5mm/minの水滴、10分間 |
3 | 200mmの高さより60°の範囲から10ℓ/minの放水、10分間 |
4 | 300〜500mmの高さより全方向に10ℓ/minの放水、10分間 |
5 | 3mの距離から全方向に12.5ℓ/minの30kPaの噴流水、3分間 |
6 | 3mの距離から全方向に100ℓ/minの100kPaの噴流水、3分間 |
7 | 水面化15cm〜1mにて30分間 |
8 | 製品の製造メーカーと使用者の間の取り決めによる |
上記の試験の前提条件として温度20度の真水で試験後に機器が正常動作することとなっています。
つまり防水性能が高くても海水や温泉などは真水ではないため注意が必要です。またIPX7やIPX8であっても水中での操作は保証されていません。
合わせてシャワーなども温度が40度程度あるため防水の機器だからとお風呂で使用すると故障する可能性もあります。
防水性能の等級はひとつの目安として、実際の使用では過酷な環境での機器の使用は注意した方が無難ですね。
生活防水とは?完全防水とは?
生活防水や完全防水という売り文句やキャッチコピーをあなたも聞いたことがありませんか?
実のところ、これらには明確な基準はありません。
ただ、世間一般のイメージでは生活防水=IPX3〜4程度、完全防水=IPX5以上の程度を表すことが多いようです。
最近では生活防水や完全防水の言葉を見ることが少なくなってきました。電化製品でもIPX8と堂々と記載されることが増えています。
また防水の性質が異なる関係により、IPX6/IPX8と2つの基準が表示されることもあります。浸水には耐えられるが水圧が高い噴流には耐えられない機器などもあるので2つの表示があると安心感が高まります。
おまけ話
私の腕時計に記載されている防水性能は「10気圧防水」でした。
これまでの電化製品などの防水性能と異なり時計には時計の防水規格があるようです。防水性能の奥は深いです。興味がある方は是非調べてみて下さい!
防水性能のまとめ
防水性能は試験方法からも分かるように、
- 水滴の落下試験
- 噴流に耐えられるかの試験
- 水面化の試験
と大きく3つに分かれています。それにより等級を決定します。
表記方法はIPX○とIP〇〇で記載され、防塵性能と防水性能の2つの意味が分かるようになっています。
まとめ
防水性能について詳しくなることが出来ましたね。今後も生活防水や完全防水という表示よりもIP表示が増えてくると思われます。
今使っているあなたのスマホや生活家電の防水性能を調べながら、IP表示に慣れていきましょう!