こんにちは技術者けんです!皆さんベアリングの交換したことありますか?今回はベアリングの交換の基礎知識のご紹介です。
この記事では深溝玉軸受(ボールベアリング)という一般的なベアリング交換の方法です。
工場などの設備のベアリングについての記事ですので、バイクなどのベアリング交換の方法ではありません。ただしバイクなどにも役立つ知識があるかもしれません。
この記事では工場などで用いられているベアリングの交換方法についてお伝えします。新しい知識が増えるかもしれませんし、「あーあるあるだなー」って共感もあるかもしれません。ぜひ最後まで目を通してみてください!
何故ベアリングを交換するのか
そもそもなんでベアリング交換が必要なの?って考えたことありませんか?
ベアリングはずっと回転していると僅かずつですが、摩耗もあり劣化していきます。寿命がある部品なので定期的or壊れた時に交換が必要になります。
取り付け方がおかしかったり、無理な力が加わっていると寿命はガクンと下がります。
それではベアリングの交換方法を見ていきましょう。
シャフトが抜けない場合
まずベアリングを交換する際にはベアリングがハマっている穴(ベアリングケース)とベアリングの中心を通っているシャフトの2つがあります。
この記事ではケースからベアリング本体が抜けてシャフトとベアリングが外れない場合の解説をします。
ベアリング本体が抜けない場合
ベアリング本体がシャフトから抜けない場合に外し方は何通りもあります。ハメ合いが固く抜けないなど状況に応じてどの方法で戦うか選択する必要があります。
どの方法を選択しても、まずはシャフトとベアリングの隙間にオイルを挿しておくことで外れやすくなります。
シャフトを叩く
1番基本のベアリングの外し方になります。手で引っ張って抜けなかった場合にまず叩く方法を試すことが多いです。
なぜかと言うと特別な道具も必要なく1番簡単に試せる方法だからです。ハンマーがあれば叩くことが出来ます。
シャフトとベアリングを持ち運べることが前提の話になります。
ベアリングを固定された板など(固定バイスがオススメ)に乗せてシャフトを叩きます。注意点は絶対にシャフトをそのままハンマー等で叩くことはしないことです。シャフトに傷が付くと次にベアリングを取り付ける時に入らなくなります。
プラスチックハンマーで叩くか、当て木をする、もしくはシャフトがステンレスの場合にはアルミなどシャフトより柔らかい金属(アルミなど)を当て木代わりするなど、シャフトより柔らかい素材で叩くことが最重要です。間違ってもシャフトをハンマーで叩くことがないようにしましょう。
プーリー抜きを使う
シャフトを叩いたり出来ない場合にはプーリー抜きが便利です。呼び名は「プーリー抜き」「ギアプーラー」「ベアリングプーラー」など様々ですが基本的な機能は一緒です。
プーリー抜きとはベアリングに爪部分を引っ掛けてプーリー抜き上のハンドルを回すことでベアリングを引き抜く(シャフトを押し出す)工具です。
まず爪付きのプレートでベアリングを挟みます。次にプレートについている2本のネジを締めてプレートが開かないようにします。この時横の2本のネジはキツく締める必要はありません。プレートを2本のネジで固定出来たら上のハンドルを回してシャフトを押し込んでいきます。これでベアリングが少しずつ上に引き抜かれ最後に外すことが出来ます。
大抵のベアリングはプーリー抜きで外せますが、シャフトの先端に多少の傷が付くことがあるため注意する必要があります。
プーリー抜きはどこでも持ち運べるためシャフトを機械から取り外せない場合などにも用いることが可能です。
プーリー抜きでベアリングを外すのは1番オーソドックスな方法と言えます。プーリー抜きも爪の大きさやベアリングへの爪のかかり具合が違ってきますので複数のプーリー抜きを所有しておくことをオススメします。1個数千円なので各種サイズを揃えておきましょう。
油圧プレスを使う
叩いても外れず、プーリー抜きでも外れない場合には油圧の力を使うことで外せる場合があります。
使い方のイメージとしては叩く時と同じようにセットして、叩く代わりに油圧の力で押すイメージです。
こちらも機械からシャフト&ベアリングを外して持って来れる場合にしか使えませんが、ほとんどのベアリングを外すことが出来ます。
内輪が残った場合
ベアリング交換で難易度が高いのが、ベアリングが破損してしまって内輪(ないりん)と外輪(がいりん)が分かれてしまった場合です。
難易度が高いからこそやってやるぜと燃える気持ちを持ちながら頭を使いましょう。
内輪がシャフトに残り、シャフトが段付きになっていて、内輪よりもシャフトの径が大きい場合は難易度が高いです。ここでは3つの方法を紹介しておきます。
ちなみにここで紹介する以外にもアイデアを出せば方法はたくさんあるはずです。
加熱する
内輪が残ってしまって全然外れない場合に加熱する方法があります。
シャフト側を加熱しないように注意しながら、ベアリングの内輪のみを加熱することでベアリングの内輪が膨張してシャフトとのハメ合いがゆるくなり、スルッと下に内輪が抜けることを期待する方法です。
ポイントは内輪が真っ赤になるくらい加熱することとシャフトは出来れば冷やしておくことです。冷やすのはビールがキンキンまで冷やさなくとも熱くならない程度で大丈夫です。私は適当なボックスに水を張って実際に作業しています。
ガスバーナー程度では真っ赤になるまで加熱するのに時間がかかるためガス切断機をお持ちであれば切断しないように加熱することで素早く内輪を加熱することが出来ます。
またこの方法はベアリングのサイズが小さい時にはオススメしません(シャフトも一緒にすぐ温まるため)。中型から大型のベアリングの内輪を抜く時にはオススメです。
内輪を切る
どうしても外せない時は内輪を切るという方法が残されています。
ディスクグラインダーやルーターで内輪に切り込みを入れることでキツい内輪とシャフトのハメ合いが緩むため外せます。切っても外れない場合は反対側も切ると必ず外れます。
確実にシャフトに傷が付くためオススメ出来ません。最後の最後に奥義として実施するイメージです。できる限り他の方法で外した方が良いです。
本当のことを言えばシャフトの予備を持っておくことで慌てずにすむよ
まとめ
ベアリングの外し方のイメージが掴めたと思います。あとは実践あるのみで、何度もやっているうちにコツが分かってきたり、上達していきます。
ここまで紹介してきた方法をまとめておきます。
どの方法でも少しオイルを挿しておくことを忘れずに!
それではここまでシャフトとベアリングが外れない場合の記事でした!
焦らずにやっていけばベアリングはいつかは外す事が出来ます。ベアリング交換もどんどん上達しましょう!