みなさんこんにちは技術者けんです。今回はオムロンのデジタルタコメーターH7CX-Rシリーズを用いた工場内の速度の見える化の話をします。
工場では日々物が作られていきますが、どれくらいの早さで動いているか表示が出ない機械もあります。そこでデジタルタコメーターを追加することで実際のスピードが見えるようになります。
ところでタコメーターって何かご存知でしょうか?車が好きな人なら知らない人はいないでしょう。そうです、車ではエンジンの回転数を表示するメーターのことです。
今回は工場内での機械の速度を測ることを目的にデジタルタコメーターを実際に使用した話です。是非お付き合いください。
タコメーターとは?
まずタコメーターとはなんなのか?という話からしていきましょう。
タコメーターとは前述のとおり、車のメーターなどで用いられています。タコには速度の意味合いがあります。タコメーターを日本語に直すと回転速度計と言えます。
回転速度計なので回転数を表します。回転数の単位としてrpmまたはr/minという単位があります。Revolution Per Minuteの頭文字でrpmです。これは1分間に何回転回ったかを表します。車やバイクで2000rpmだとエンジンが1分間に2000回転する速度で回っているという意味ですね。
工場内でも基本的な数値として1分間に何サイクル機械が動くかという意味でrpmが用いられることがあります。
オムロンデジタルタコメーターとは?
まずデジタルタコメーターは普通のタコメーターと何が違うのかと言うと、実際の速度が数字で分かる点がデジタルタコメーターの特徴です。車やバイクにおいては普通のタコメーターで数値が書いてある場所を針が差すことによって回転数が分かります。
それと比較するとデジタルタコメーターは実際の数値として表示が出てくるため小数点以下まで細かく回転数分かるというメリットがあります。
タコメーターの使用方法
オムロンのデジタルタコメーターH7CX-Rシリーズの使い方を説明します。
詳しい使い方や配線方法は購入時に付いてくる取り扱い説明書を参照してください。
ここでは簡単に説明します。
電源を接続しますが、AC100〜200V用と、AC24VまたはDC12〜24V用の2種類があり、それぞれ型式の末尾が違うため購入時は要注意です。
そして入力信号は無電圧入力と電圧入力(DC〜2VもしくはDC4.5〜30V)が切り替えられるためセンサーを入力に入れてもよし、リレーなどの接点を使用するもよしで使い勝手は良いです。
設定の方法として本体上部に小さなカバーがあり、その中にディップスイッチが入っています。ディップスイッチの切り替えで上下限の出力の方法や表示する値の平均値などの設定が行えます。
パネル前面のボタンでは細かな設定が行えます。小数点の桁数の変更や何秒間入力がなかったら表示をゼロに戻すかなどの設定が出来ます。
今回のH7CX-Rのタイプはソケットに接続して使用しますので表面接続ソケット(P2CF-11)(別売)とパネルに取り付ける埋込み取りつけ用アダプタ(Y92F-30)(別売)が必要です。
設定方法
先述の前面ボタンによる設定の中で今回機械の速度を測るためにとても重要な設定項目があります。
プリスケール値という項目で、表示を何倍かに倍数して表示する設定です。というのも、このデジタルタコメーターの初期設定が1秒あたりの回転数を表示するようになっています。
今回パネルに表示したい内容として機械の速度をrpm(1分間に何回転か)の表示で使用したくてデジタルタコメーターを導入しました。
そのためにプリスケール値の項目を60に設定することで1秒間に何回転か?を60秒間(1分間)で何回転か?という表示に変更することが可能です。
測定方法
測定方法は入力信号と次の入力信号までの間を測定します。1回目の入力と2回目の入力の時間を測定しているため、2回目と3回目の間を測定することが出来ません。
つまり回転数を測定するために設置するタコメーターですが、1サイクルあたりの時間が安定している必要があります。
私が使用している設備では大体機械の1サイクルが5秒です。それをrpmで表示すると1分間に12回動く機械ということになります。
これまでストップウォッチで測ったりしていた機械の速度が正確に簡単にいつでも見えるようになりました。
見える化って感じですね〜
ただし注意点があります。先ほども言いましたが、機械の1サイクルの時間が安定しない設備には向かないのです。というのも必ず入力の信号間の時間を測っている訳ではなく、1回飛ばしのイメージのため表示がバラつき計測出来ない区間が出てしまうためです。
元々回転している軸の速度等を測定するのがタコメーターですので、回転数が大きくブレることは想定されていないのかもしれません。
実際に運用してみた感想
私はいくつかの設備に搭載してみましたが、見た目にも分かりやすく評判が良いです。
機械の1サイクルの速度を上げたい場合にどこをどう調整するとどれくらいの効果があるか、または時間を延ばしたい場合にどれくらいの影響があるかなど、理解が進むのでデジタルタコメーターを目安として設備の稼働や調整がしやすくなりました。
これまでのベテランの経験とストップウォッチでしか調整してこなかった設備が誰にでも分かりやすく調整可能になりました。
オムロンデジタルタコメーターH7CXのメリット、デメリット
最後にメリットとデメリットをいくつか挙げておきます。
メリット
- 機械の速度が分かることで調整が容易に
- 何も調整せずとも速度が遅くなると、機械の不具合や劣化が考えられ、トラブルの元を早期に発見出来るようになる
- 安価で設備の速度が分かる(シーケンサーやタッチパネルなどを使用すれば同じような表示は可能だが高価になる)
デメリット
- 表示される値を記憶や記録することは出来ない
- 1サイクルの時間が不安定な機械では表示値が不安定で信頼性がないため使用推奨出来ない
- 表示された値自体を他の機器に送るなどの高度な通信などは出来ない(上限下限などの範囲を超えた場合の接点出力は可能)
まとめ
今回オムロンデジタルタコメーターH7CX-Rを用いた見える化の改善の話をしてきました。
デジタルタコメーターは本来はシャフトやローラー等の軸の回転数を測定する物ですが、それを機械のスピードの測定に用いてみたところ、安価にrpm表示出来ました。発想の転換で1つの製品を本来と別の使い方をしましたが、なかなか良い評判となりました。
シーケンサーやタッチパネルを購入することに比べれば高い買い物ではないので、興味があれば購入して遊んでみると面白いかもしれません!